スイス型自動旋盤「SP-32」を発売
~さまざまな業種の部品加工ニーズに応えるSPシリーズの新製品が登場~
スター精密株式会社(本社:静岡県静岡市駿河区、代表取締役 社長執行役員:佐藤 衛)は、スイス型自動旋盤(注1)SPシリーズの新製品として、「SP-32」の販売を開始します。
2023年に定番シリーズを拡充する形で販売開始した「SP-20」は、国内外の自動車や産業用装置など、さまざまな業種で活用されています。
新製品「SP-32」は、SP-20の基本的な構成を引き継ぎつつ、最大径32ミリメートルまでの加工が可能となりました。SPシリーズが備える、取り付けられる工具の多さや豊富なソフトウェアの機能により、データセンターで使用されるITインフラ関連機器のほか、自動車、油圧・空圧装置、一般機械など、さまざまな業種の部品加工ニーズにお応えします。
また、オペレーターの使いやすさを追求し、工作機械の頭脳となるNC装置には、経験の少ないオペレーターでも簡単にプログラム作成が可能な「EASY EDIT」(オプション)や、オペレーターの日常作業をサポートするプログラムデータ一括入出力機能をはじめとした各種の支援機能を搭載しています。さらに、切削室ドアは開口部が広く、段取り替え(工具交換や設定調整などの作業)やメンテナンス時に余裕のある作業スペースが確保できる、跳ね上げ式ドアを採用するなど、操作性、作業性の向上にも配慮しています。
正面加工用刃物台は、SP-20と同様に、中央にあるガイドブッシュを取り囲むように構成された門型刃物台を採用しています。手前側にはバイトホルダー6本型を搭載しており、奥側には6軸型のクロスドリルユニットを装備しています。このクロスドリルユニットは、6軸のうち4箇所がカートリッジ式ポジションになっており、加工部品の形状に応じて多彩な工具ユニットの装着が可能なため、複雑な加工にも対応します。また、上部に配置されている穴あけ工具用のスリーブホルダーには、大径の穴あけ加工が可能な2箇所を含む5軸型ユニットを採用し、穴あけ加工の用途にも幅広く対応しています。
背面加工専用刃物台は、加工部品の形状に応じて4軸型ユニットまたは5軸型ユニットのいずれかを選択することが可能です。いずれも工具回転駆動装置を標準で搭載しており、最大4箇所にさまざまな回転工具ユニットを装着可能なため、正面/背面での最適な工程分割と同時加工によりサイクルタイムの短縮を実現します。
多様化する部品加工ニーズに対応するため、ガイドブッシュ切り換え機構を搭載しています。モーターシャフトなど全長寸法が長い部品には、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュ仕様によって、材料のたわみを抑制した高精度加工が可能です。一方、ナットのような短い部品の加工には、ノンガイドブッシュ仕様(注2)に切り換えることで、廃棄される残材の長さを短くし、材料コストを削減するなど、加工部品の形状に応じた最適な仕様での加工が可能です。

■販売開始時期
2025年12月以降、国内外ともに順次販売開始
主な特長
高機能
- 正面側刃物台に刃具装着本数に優れた門型刃物台を採用。手前側の旋削バイト用ホルダーに6本型(□16ミリメートル)を装備。また、上部の穴あけ用スリーブホルダーには、大径の穴あけ対応可能な2箇所を含む5軸型を装備。
- 正面側刃物台の奥側にクロスドリルユニット6軸型を搭載。4箇所のカートリッジ式ポジションは、加工部品の形状に応じて多彩な工具ユニットの取り付けが可能。
- 切り屑トラブルの対策として「ステップサイクル・プロ」(オプション)の搭載が可能。専用画面から加工条件を入力し、切り屑を分断して排出を促すことで、加工の安定性向上に寄与。
高精度
- 機体各部に配置された温度センサーからのデータをもとに、高精度かつ柔軟な熱変位補正を実現。
- 正面刃物台回転工具ギアボックスへのオイルミスト冷却により、過度な発熱を抑制。
- メイン/サブスピンドルにビルトインセンサーを搭載。割り出し精度の向上を実現。
拡張性
- ガイドブッシュ/ノンガイドブッシュ切り換え機構を搭載。加工部品の全長寸法に応じて最適な仕様で加工が可能。
- メイン/サブスピンドルともに、オプションでトルクアップ仕様を用意。φ14ミリメートルまでの穴あけ加工に対応可能。
主な仕様
項目 | 仕様 | |
---|---|---|
最大加工径 | φ32mm | |
主軸台最大ストローク | ガイドブッシュ仕様 | 310mm |
ノンガイドブッシュ仕様 | 材料径×2.5(最大80mm) | |
正面主軸 | 最高回転数 | 7,000min-1 |
モーター出力 | 5.5kW/7.5kW | |
背面主軸 | 最高回転数 | 7,000min-1 |
モーター出力 | 2.2kW/3.7kW | |
クロス回転工具 | 最高回転数 | 5,000min-1 |
モーター出力 | 2.0kW | 背面回転工具 | 最高回転数 | 6,000min-1 |
モーター出力 | 0.75kW | |
機械寸法(幅×奥行×高さ) | 2,570mm×1,275mm×1,850mm |
(注1)スイス型自動旋盤とは
スイス型自動旋盤は、金属などの材料を回転させながら、刃物を押し当てて削る旋盤の一種で、時計部品などの小型精密部品を加工する機械として、1870年代にスイスにおいて考案されました。別名“主軸移動型自動旋盤”とも呼ばれています。材料の振れ止め装置として働くガイドブッシュから一定の距離で、主軸台が把持した材料を送り出しながら加工するため、細長い部品を高精度に切削できる点が特長です。
(注2)ノンガイドブッシュ仕様とは
ノンガイドブッシュ仕様とは、材料の振れ止め装置として働くガイドブッシュを取り外したスイス型自動旋盤です。細長い部品加工には不向きですが、ガイドブッシュが無くても加工物がたわまない短い部品であれば、構造上加工できずに廃棄される残材の長さを、ガイドブッシュ仕様の3分の1程度に削減することができます。
問い合わせ先
機械事業部 営業部長 鶴田大介
電話番号 0537-36-5586