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  • スイス型自動旋盤「SD-26」を発売

    ~門型クシ刃モデルの領域を拡大し、複合加工ニーズに合わせた4タイプをラインアップ~

    当社は、スイス型自動旋盤(注1)の新製品として、最大加工径φ26mmの「SD-26」を開発しました。自動車、油圧・空圧機器、医療関連の複雑形状部品を主要ターゲットとして、2023年4月から全世界に向けて販売を開始します。

    「SD-26」は、正面加工用のクシ刃型刃物台に、旋削用バイトや穴あけ用ドリルなどの各種工具を加工ポイントとなるガイドブッシュを取り囲むように配置した、均等荷重クロスガイド構造(注2)の門型刃物台を採用。加工部品の用途に応じて最適な刃物台仕様を選択できるように、以下の4つのタイプを取りそろえています。

    ① 「type S」: プログラムによる同時5軸制御が可能な工具旋回制御軸(B軸)付きの4軸対向型ミリングユニットを搭載。上部には、専用の工具ユニットを旋回制御することが可能な第2B軸機構を持った1箇所のカートリッジ式ポジションを配置。業界初のツインスレッドワーリングユニットを始めとする各種工具ユニットの装着が可能。
    ② 「type G」: プログラムによる同時5軸制御が可能な工具旋回制御軸(B軸)付きの4軸対向型ミリングユニットを搭載。上部には既存機種の各種工具ユニットの装着が可能な2箇所のカートリッジ式ポジションを配置。
    ※2箇所のカートリッジ式ポジションはtype G/E/Cにおいて共通。
    ③ 「type E」: プログラムによる同時4軸制御が可能な工具旋回制御軸(B軸)付きの4軸
    対向型ミリングユニットを搭載。
    ④ 「type C」: 手動による角度調整が可能な4軸対向型ミリングユニットを搭載。

    また、多様化が進む部品加工ニーズに柔軟に対応するため、ガイドブッシュ/ノンガイドブッシュ切り換え機構を採用。材料の振れ止め装置の働きをし、モーターシャフトなどの全長寸法が長い部品を高精度で加工できるガイドブッシュ仕様と、廃棄される残材を短縮して、ナットなどの短い部品を無駄なく加工できるノンガイドブッシュ仕様(注3)に1台で自由に切り換えることが可能です。

    さらに、ガイドブッシュおよび刃物台へのアクセス性の向上に配慮した機械構造の再構成や、オフセットデータなどの関連情報とともにNCプログラムを一括入出力する機能や、各種コマンドをNC画面上で確認可能なコマンドヘルプ機能を始めとした各種ヘルプ機能など、ハードウェアとソフトウェアの両面から、オペレーターの作業性、操作性の向上を図るための様々な機能を搭載しています。


    主な特徴

    高機能

    • 同時5軸制御が可能なB軸制御付きの4軸対向型ミリングユニットとカートリッジ式工具ユニットのB軸制御機構を搭載した「type S」から、手動による角度調整式4軸対向型ミリングユニットを搭載した「type C」まで、4タイプから加工部品の形状に応じた最適な仕様を選択可能。
    • 手前側に配置されたクロスドリルユニットは、クロス専用4軸と既存機種の工具ユニットを装着可能なカートリッジ式4軸の2タイプから選択が可能(type Sはカートリッジ式4軸のみ)。
    • 背面加工用としてY軸制御付き8軸型ユニットを搭載。8箇所すべてで回転工具ユニットの装着が可能で、背面側での複合加工能力を拡充。
    • Y軸制御付き8軸型ユニットに装着可能なバイトホルダー2本型をオプションで用意。背面側での旋削能力を向上させることで、効率的な正面/背面工程分割を実現。
    • 当社独自の制御方式であるスターモーションコントロールシステムを搭載(type S/G)。NC制御による運転時に必要となる演算時間、工具選択時間などの非切削時間を徹底的に削減することで部品1個当たりのサイクルタイムを短縮し、消費電力量の低減を実現。

    高剛性・高精度

    • B軸制御付きの4軸対向型ミリングユニットは、上下両端を支持する構造を採用し、旋回加工時のユニット保持剛性を確保。
    • メイン主軸、サブ主軸ともにビルトインスピンドルを採用し、割り出し精度の向上を実現。
    • 機体各部に配置された温度センサーによる柔軟な熱変位補正、一時的な機械停止時の寸法変化を自動補正する寸法アシスト機能など、加工精度を維持するための各種機能を採用。
    • 正面加工用の門型刃物台には、均等荷重クロスガイド構造を採用。切削時に刃物台ガイドレールにかかるモーメント荷重を軽減し、刃物台剛性を確保。
    • 前工程の加工時間を利用して次工程の工具選択、アプローチを完了させるスターモーションコントロールシステムの軸制御によって、軸移動時の過度な加減速による振動を抑制(type S/G)。

    (注1)スイス型自動旋盤とは

    スイス型自動旋盤は、時計部品を加工する機械として、1870年代にスイスにおいて考案されました。別名“主軸移動型自動旋盤”とも呼ばれ、直径に比べて部品長が長い部品を高精度に切削できる点が大きな特徴とされています。

    一般的には、細長い部品を汎用旋盤で加工を行うと、加工物がたわみを起こして正しい寸法に仕上げることができません。

    スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュを用い、刃物はガイドブッシュから一定距離の位置で、外径方向の切り込み運動のみを与えるため、加工物はたわみを起こさずに、高精度に切削することができます。また、軸方向の運動は刃物台が移動するかわりに、主軸台が材料をくわえた状態で移動する機械構成となります。

    (注2)均等荷重クロスガイド構造とは

     CNC自動旋盤のクシ刃型刃物台は、X軸とY軸の摺動台によって構成されており、一般的に各軸に4個ずつ、合計8個の直動ガイドベアリングによって支持されています。

     均等荷重クロスガイド構造とは、この8個の直動ガイドベアリングを、加工負荷が発生する切削ポイントであるガイドブッシュを中心に、均等に配置した刃物台構造になります。

     切削時の加工負荷を8個の直動ガイドベアリングに均等に分散させることで、おのおのの直動ガイドベアリングにかかる荷重を最小限に抑え、刃物台剛性を向上させました。この刃物台構造の採用により、安定した精度での長時間連続稼働を可能にするとともに、直動ガイドベアリングの長寿命化も実現しました。

    (注3)ノンガイドブッシュ仕様とは

     スイス型自動旋盤を基に、ガイドブッシュを取り外した主軸移動型自動旋盤です。ガイドブッシュが無いため、細長い部品加工には不向きですが、ガイドブッシュが無くても加工物がたわまない短い部品であれば、材料を有効に使用することができます。

     スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュ構造部の寸法分だけは、棒材の後端部分を加工することができずに残材として廃棄することになります。

     ノンガイドブッシュタイプでは、廃棄される残材の長さを、ガイドブッシュタイプの3分の1程度に削減することができます。


    問い合わせ先

     機械事業部 営業部長  加藤 稔(かとう みのる)
     電話番号  0537-36-5586