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  • スイス型自動旋盤「SR-38」を発売

    大径部品の外径切削に威力を発揮するバランスカット機構を搭載

    当社は、スイス型自動旋盤(注1)SRシリーズの新製品「SR-38」を開発しました。自動車、油圧・空圧装置、一般機械分野での大径複雑形状の部品加工を主要ターゲットとして、2016年2月より全世界に向けて販売を開始します。

    SRシリーズは、1992年に初期モデルの販売を開始して以来、その機能と機械剛性の高さにより市場で好評を得てシリーズ累計販売台数15,000台を超える当社複合加工機のベストセラーモデルです。

    「SR-38」は最大加工径をø38mmとし、直線制御軸7軸・主軸回転制御軸2軸の「type A」、さらに工具旋回制御軸(B軸)を付加した「type B」の2つのタイプをラインアップしています。

    どちらのタイプとも正面加工用の刃物台に、ガイドブッシュを取り囲むように配置された均等荷重クロスガイド構造(注2)の門型刃物台を採用しています。この門型刃物台は、単独でX軸制御することが可能な奥側工具ホルダーを搭載。手前側工具とのバランスカットを可能にすることで、大径素材からの切り込み量が多い外径切削を行う場合に、粗加工と仕上げ加工の同時加工により、加工時間の短縮を実現しています。

    また、「type A」にはあらかじめ任意の角度に調整可能な角度調整型回転工具ユニットを、「type B」にはプログラムによる自在な角度制御が可能なB軸制御付き回転工具ユニットを搭載。斜め穴などの傾斜加工を可能にし、多彩な加工バリエーションを実現しています。

    さらに、背面加工用にY軸制御付き8軸型ユニットを搭載。背面側の加工能力を拡充し、正面/背面での効率的な工程分割および同時加工を可能にすることで、加工時間を短縮しています。

    写真:SR-38 type B

    制御面では、上位モデルの「type B」に、当社独自の制御方式であるスターモーションコントロールシステム(注3)を搭載。NC制御による運転時には、必要となる演算時間、工具選択時間などの非切削時間を徹底的に削減し、トータルでのサイクルタイム短縮を実現しています。

    本新製品は、10月5日からイタリア・ミラノで開催される欧州最大の工作機械見本市「EMO2015」、および10月21日からポートメッセなごやで開催される「メカトロテックジャパン2015」に出品します。

    「SR-38」の特長

    高機能

    • 正面加工用の門型刃物台にX軸制御付き奥側工具ホルダーを搭載。手前側工具との粗加工と仕上げ加工の同時加工により、切り込み量の多い外径切削加工に威力を発揮。
    • type Aには、任意の角度に調整して斜め穴などの傾斜加工が可能な角度調整型回転工具ユニットを搭載。
    • type Bには、NC制御による自在な傾斜加工が可能なB軸制御付き回転工具ユニットを搭載。
    • Y軸制御付きバック8軸型ユニットは、全ポジションに回転工具ユニットの装着が可能。

    高剛性・高精度

    • 正面加工用の門型刃物台には、「均等荷重クロスガイド構造」を採用。切削時に刃物台ガイドレールにかかるモーメント荷重を軽減し、刃物台剛性を確保。
    • メイン/サブ主軸にビルトインモーターを採用。ビルトインセンサーによる主軸割り出し精度向上を実現。
    • 他系統の加工時間を利用したスターモーションコントロールシステムの軸制御によって、軸移動時の過度な加減速による振動を抑制(type B)。

    高生産性

    • 粗加工と仕上げ加工を同時に行うバランスカットによる加工時間の短縮。
    • 背面加工用のY軸制御付き8軸型ユニットを搭載。正面/背面での工程分割および同時加工による加工時間の短縮。
    • スターモーションコントロールシステムによる非切削時間の短縮(type B)。

    主な仕様

    最大加工径 ø 38mm
    主軸台最大移動量 320 mm
    メイン主軸最高回転数 7000 min-1
    メイン主軸モーター 7.5kw (連続) / 11kw (10分/25%ED)
    サブ主軸最高回転数 7000 min-1
    サブ主軸モーター 3.7kw (連続) / 5.5kw (10分/40%ED)
    クシ刃型刃物台仕様 バイト 【手前側】 5本
    【奥 側】 2本
    スリーブホルダー 正面固定工具 5本
    背面固定工具 5本
    回転工具 クロス専用 4本
    カートリッジ式 2 pos.
    角度調整型回転工具
    (type A)
    正面工具 3本
    背面工具 3本
    B軸制御付回転工具
    (type B)
    正面工具 3本
    背面工具 3本
    バック8軸型
    ユニット仕様
    工具本数 【固定工具】 Max.8本
    【回転工具】 Max.8本
    正面加工能力 【 固定工具 】 最大穴明能力 ø 23mm
    最大切削タップ能力 M16 × P2.0
    【 回転工具 】 最大穴明能力 ø 10mm
    最大切削タップ能力 M8 × P1.25
    背面加工能力 【 固定工具 】 最大穴明能力 ø 14mm
    最大切削タップ能力 M12 × P1.75
    【 回転工具 】 最大穴明能力 ø 8mm
    最大切削タップ能力 M6 × P1.0
    機械寸法 (幅 × 奥行 × 高さ ) 2740 × 1315 × 2120 mm

    (注1) スイス型自動旋盤とは

    スイス型自動旋盤は、時計部品を加工する機械として、1870年代にスイスにおいて考案されました。別名“主軸移動型自動旋盤”とも呼ばれ、直径に比べて部品長が長い部品を高精度に切削できる点が大きな特徴とされています。

    一般的には、細長い部品を汎用旋盤で加工を行うと、加工物がたわみを起こして正しい寸法に仕上げることができません。

    スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュを用い、刃物はガイドブッシュから一定距離の位置で、外径方向の切り込み運動のみを与えるため、加工物はたわみを起こさずに、高精度に切削することができます。また、軸方向の運動は刃物台が移動するかわりに、主軸台が材料をくわえた状態で移動する機械構成となります。

    (注2) 均等荷重クロスガイド構造とは

    CNC自動旋盤のクシ刃型刃物台は、X軸とY軸の摺動台によって構成されており、一般的に各軸に4個ずつ、合計8個の直動ガイドベアリングによって支持されています。

     均等荷重クロスガイド構造とは、この8個の直動ガイドベアリングを、加工負荷が発生する切削ポイントであるガイドブッシュを中心に均等に配置した刃物台構造になります。

     切削時の加工負荷を8個の直動ガイドベアリングに均等に分散させることで、おのおのの直動ガイドベアリングにかかる荷重を最小限に抑え刃物台剛性を向上させました。この刃物台構造の採用により、安定した精度での長時間連続稼働を可能にするとともに、直動ガイドベアリングの長寿命化も実現しました。

    (注3) スターモーションコントロールシステムとは

    NC制御の場合、一般の加工工程は「工具選択」⇒「アプローチ」⇒「切削」⇒「退避」⇒「次の工具選択」⇒「アプローチ」⇒「次の切削」となり、実際の「切削」以外の非切削時間が加工時間に大きな影響を与えています。スターモーションコントロールシステムは、この非切削時間を短縮する機能です。

    スターモーションコントロールのデータは、「最適化」処理によりNCプログラムを変換して生成することができます。この「最適化」により、NC制御では運転時に行われる演算処理を事前に完了させてしまうことで、非切削時間を短縮します。また、主軸変速などの各種制御を最適なタイミングでコントロールすることや、「工具選択」⇒「アプローチ」までの一連動作をスムーズな軌跡に変換することでも非切削時間を短縮します。

    さらに加工精度についても効果を発揮します。NC制御では、非切削時の工程を最大早送り速度で軸移動します。一方、スターモーションコントロールシステムでは、他系統との待合わせ時間を最大限に利用して、最小限の加減速度で軸移動を行います。この制御方式により、早送り速度での軸移動による過度な振動を抑制して、安定した加工精度の維持に貢献します。


    本件に関するお問い合わせ先

    機械事業部 営業部長  増田 文雄(ますだ ふみお)
    Tel.0537-36-5586