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  • スイス型自動旋盤「SW-12RⅡ」を発売

    ~世界最速、高生産性を追求したSWシリーズに小径加工モデルを追加~

    写真:SW-12RII

      当社は、対向クシ刃型刃物台搭載のスイス型自動旋盤(注1)の新製品「SW-12RⅡ」を開発し、医療・自動車・通信機器分野等での小径複雑形状部品をターゲットに2015年2月より全世界に向けて販売を開始します。

      当社では、対向クシ刃型刃物台を搭載した既存機種として、2012年3月に販売を開始した「SW-20」をラインアップしています。「SW-20」は、材料径ø20mmまでの医療・自動車部品等での複雑形状部品市場において、生産性と複合加工能力に優れた自動旋盤として、高い評価を得ています。

      「SW-12RⅡ」は、最大加工径をø13mmとし、3系統独立制御、同時加工、およびスターモーションコントロールシステム(注2)により、同カテゴリーのスイス型自動旋盤では世界最速クラスのサイクルタイムを実現しています(当社既存製品比最大20%短縮)。

      制御軸構成は、直線制御軸8軸・回転制御軸2軸の合計10軸制御。正面加工用として、2軸制御の2つのクシ刃型刃物台を、ガイドブッシュに対して対向に配置しています。各々の刃物台を独立制御し、旋削・穴明け・ミリングなどの加工を同時に行うことにより、加工時間の短縮を可能にしました。

      背面加工専用の刃物台には、Y軸制御付き8軸型ユニットを搭載することで、背面側での複合加工能力を充実させました。正面/背面での効率的な工程分割および同時加工を可能にし、加工時間の短縮を図りました。

      さらに、当社独自の制御方式であるスターモーションコントロールシステムを搭載することにより、制御系統間の切り替え時間や工具交換時間などの非切削時間を徹底的に削減し、機械系・制御系の両面からトータルでの加工時間短縮を図っています。

      また、「SW-12RⅡ」では、ガイドブッシュ仕様・ノンガイドブッシュ仕様(注3)の変更が可能な切り換え機能を搭載しています。

      モーターシャフトなどの全長寸法が長い部品の場合には、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュ仕様によって加工物のたわみを抑制し、高精度で加工することが可能です。一方、ナットなど短い部品の場合には、ノンガイドブッシュ仕様によって廃棄される残材の長さを短くすることで、材料コストを削減するなど、加工部品に応じた最適な仕様での加工を可能にしています。

    「SW-12RⅡ」の特長

    高生産性

    • 独立制御の対向クシ刃型刃物台での同時加工により、加工時間を短縮。
    • 背面専用のY軸制御付き8軸型ユニットにより、正面/背面の効率的な工程分割を実現。
    • スターモーションコントロールシステムにより、非切削時間を短縮。

    高機能

    • クシ刃型刃物台に多彩な工具ユニットの装着が可能。複合加工能力を拡充。
    • ガイドブッシュ仕様、ノンガイドブッシュ仕様の切り換え機能を搭載。加工部品の全長寸法に応じた最適な仕様の選択が可能。
    • 背面専用のY軸制御付き8軸型ユニットにより、背面側の複合加工能力を強化。

    高精度

    • メイン/サブ主軸にビルトインスピンドルを採用し、割り出し精度の向上を実現。
    • スムーズな軸移動制御を実現するスターモーションコントロールシステムにより、機械振動を抑制。

    主な仕様

    最大加工径 ø13mm
    主軸台最大移動量 ガイドブッシュ仕様時 135mm
    ノンガイドブッシュ仕様時 30mm
    メイン主軸最高回転数 15000 min-1
    メイン主軸モーター 2.2kw/3.7kw(ビルトインモーター)
    サブ主軸最高回転数 15000 min-1
    サブ主軸モーター 2.2kw/3.7kw(ビルトインモーター)
    回転工具最高回転数 12000 min-1
    回転工具モーター 1.0kw/1.2kw
    正面加工能力 【 固定工具 】 最大穴明能力 ø8mm
    最大切削タップ能力 M8×P1.25
    【 回転工具 】 最大穴明能力 ø5mm
    最大切削タップ能力 M4×P0.7
    背面加工能力 【 固定工具 】 最大穴明能力 ø8mm
    最大切削タップ能力 M6×P1.0
    【 回転工具 】 最大穴明能力 ø5mm
    最大切削タップ能力 M4×P0.7
    機械寸法(幅×奥行×高さ) 1995 × 920 × 1700 mm

    (注1)スイス型自動旋盤とは

    スイス型自動旋盤は、時計部品を加工する機械として、1870年代にスイスにおいて考案されました。別名“主軸移動型自動旋盤”とも呼ばれ、直径に比べて部品長が長い部品を高精度に切削できる点が大きな特徴とされています。

    一般的には、細長い部品を汎用旋盤で加工を行うと、加工物がたわみを起こして正しい寸法に仕上げることができません。

    スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュを用い、刃物はガイドブッシュから一定距離の位置で、外径方向の切り込み運動のみを与えるため、加工物はたわみを起こさずに、高精度に切削することができます。また、軸方向の運動は刃物台が移動するかわりに、主軸台が素材をくわえた状態で移動する機械構成となります。

    (注2)スターモーションコントロールシステムとは

    NC制御の場合、一般の加工工程は「工具選択」⇒「アプローチ」⇒「切削」⇒「退避」⇒「次の工具選択」⇒「アプローチ」⇒「次の切削」となり、実際の「切削」以外の非切削時間が加工時間に大きな影響を与えています。スターモーションコントロールシステムは、この非切削時間を短縮する機能です。

    スターモーションコントロールのデータは、「最適化」という作業によりNCプログラムを変換して容易に生成することができます。この「最適化」によって制御系統間の切り替えに関わる処理を済ませてしまい、「切削」の工程中に「次の工具選択」⇒「アプローチ」を完了させ、工具の「退避」と同時に次の「切削」に入るように制御します。この制御方式により、「退避」⇒「次の工具選択」⇒「アプローチ」の時間を最小にして非切削時間を短縮します。

    さらに加工精度についても効果を発揮します。NC制御では「次の切削」までの工程を最大早送り速度で軸移動します。一方、スターモーションコントロールシステムでは、前工程の「切削」時間を最大限に利用して、最短距離で軸移動を行います。この制御方式により、早送り速度での軸移動による振動を抑制して、安定した加工精度の維持に貢献します。

    (注3)ノンガイドブッシュ仕様とは

    スイス型自動旋盤を基に、ガイドブッシュを取り外した主軸移動型自動旋盤です。ガイドブッシュがないため、細長い部品加工には不向きですが、ガイドブッシュがなくても加工物がたわまない短い部品であれば、材料を有効に使用することができます。

    スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュ構造部の寸法分だけは、棒材の後端部分を加工することができずに残材として廃棄することになります。

    ノンガイドブッシュタイプでは、廃棄される残材の長さをガイドブッシュタイプの1/3程度に削減することができます。


    本件に関するお問い合わせ先

    機械事業部 営業部長  増田 文雄(ますだ ふみお)
    Tel.0537-36-5586