スイス型自動旋盤「SR-20RⅣ」を発売
当社ベストセラー複合加工機SRシリーズの機能をさらに拡充
当社は、スイス型自動旋盤(注1)SRシリーズの機能をさらに拡充した新製品となる「SR-20RⅣ」を開発し、医療、自動車関連分野での部品加工をターゲットとして、2012年11月より販売を開始します。
SRシリーズは、1992年に初期モデルの販売を開始して以来、市場のニーズに応えるモデルチェンジを行ってきました。シリーズの累計販売台数は12,000台にのぼる当社の複合加工機のベストセラーモデルです。
「SR-20RⅣ」は最大加工径をø20mmとし、直線制御軸6軸・回転制御軸2軸の「typeA」、さらに工具旋回制御軸(B軸)を追加した「typeB」の2つのタイプをラインアップ。どちらのタイプも、加工部品の全長寸法に応じて、ガイドブッシュ仕様、ノンガイドブッシュ仕様(注2)の切り換えを可能にしました。
ガイドブッシュを中心にして配置された正面加工用の均等荷重クロスガイド構造(注3)の門型刃物台に加え、背面加工用にはY軸制御付き8軸型ユニットを搭載しています。27ポジションの工具取り付けステーションに装着できる刃具本数は最大で41本となり、多彩なツーリングレイアウトを実現しています。
制御面では、最新CNC装置を搭載することにより、プログラムの処理時間を短縮。上位モデルの「typeB」では、当社独自の制御方式スターモーションコントロールシステム(注4)を搭載し、制御系統間の切り替え時間、工具交換時間などの非切削時間を徹底的に短縮しました。
「SR-20RⅣ」の特長
高機能
- 27ポジションの工具取り付けステーションに、最大41本の刃具装着が可能。多彩なツーリングレイアウトを実現。
- Y軸制御付き8軸型ユニットによる背面側での多彩な複合加工を実現。
- サブ主軸には、メイン主軸と同出力のスピンドルモーターを採用。背面側の加工能力を拡充。
- 回転工具モーターの出力をアップ。(当社SR-20RⅢ比)
高生産性
- Y軸制御付き8軸型ユニットによる正面/背面の効率的な工程分割を実現。
- 最新CNC装置搭載により、プログラム処理時間を短縮。
- スターモーションコントロールシステムによる非切削時間の短縮。(typeBのみ)
高剛性/高精度
- 正面加工用の刃物台に均等荷重クロスガイド構造を採用。切削時に刃物台ガイドレールにかかるモーメント荷重を軽減し、刃物台剛性を確保。
- メイン/サブ主軸にビルトインモーターを採用。ビルトインセンサーによる割り出し精度向上を実現。
主な仕様
最大加工径 | ø20mm | ||
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主軸台最大移動量 | 205mm | ||
メイン主軸最高回転数 | 10000min-1 | ||
メイン主軸回転制御 | ACスピンドルドライブ(ビルトインモーター) | ||
メイン主軸モーター | 2.2kw(連続)/3.7kw(10分/25%ED) | ||
サブ主軸最高回転数 | 10000min-1 | ||
サブ主軸回転制御 | ACスピンドルドライブ(ビルトインモーター) | ||
サブ主軸モーター | 2.2kw(連続)/3.7kw(10分/25%ED) | ||
回転工具最高回転数 | 8000min-1 | ||
回転工具モーター | 2.2kw | ||
刃物台仕様 | 【メイン用】 | バイト(□12mm) 正面固定工具 深穴用固定工具 回転工具 |
7本 4本 2本 6 pos. |
【バック用】 | 8 Pos. | ||
正面加工能力 | 【固定工具 】 | 最大穴明能力 最大切削タップ能力 |
ø12mm M10×P1.5 |
【回転工具】 | 最大穴明能力 最大切削タップ能力 |
ø10mm M8×P1.25 |
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背面加工能力 | 【固定工具 】 | 最大穴明能力 最大切削タップ能力 |
ø12mm M10×P1.5 |
【回転工具】 | 最大穴明能力 最大切削タップ能力 |
ø 6mm M5×P0.8 |
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機械寸法(幅×奥行×高さ) | 2334×1200×1695mm | ||
機械重量 | 約2600kg |
(注1)スイス型自動旋盤とは
スイス型自動旋盤は、時計部品を加工する機械として、1870年代にスイスにおいて考案されました。別名“主軸移動型自動旋盤”とも呼ばれ、直径に比べて部品長が長い部品を高精度に切削できる点が大きな特徴とされています。
一般的には、細長い部品を汎用旋盤で加工を行うと、加工物がたわみを起こして正しい寸法に仕上げることができません。
スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュを用い、刃物はガイドブッシュから一定距離の位置で、外径方向の切り込み運動のみを与えるため、加工物はたわみを起こさずに、高精度に切削することができます。また、軸方向の運動は刃物台が移動するかわりに、主軸台が素材をくわえた状態で移動する機械構成となります。
(注2)ノンガイドブッシュ仕様とは
スイス型自動旋盤を基に、ガイドブッシュを取り外した主軸移動型自動旋盤です。ガイドブッシュが無いため、細長い部品加工には不向きですが、ガイドブッシュが無くても加工物がたわまない短い部品であれば、材料を有効に使用することができます。
スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュ構造部の寸法分だけは、棒材の後端部分を加工することができずに残材として廃棄することになります。
ノンガイドブッシュ仕様では、廃棄される残材の長さをガイドブッシュ仕様の1/3程度に削減することができます。
(注3)均等荷重クロスガイド構造とは
CNC自動旋盤のクシ刃型刃物台は、X軸とY軸の摺動台によって構成されており、一般的に各軸に4個ずつ、合計8個の直動ガイドベアリングによって支持されています。
均等荷重クロスガイド構造とは、この8個の直動ガイドベアリングを、加工負荷が発生する切削ポイントであるガイドブッシュを中心に均等に配置した刃物台構造になります。
切削時の加工負荷を8個の直動ガイドベアリングに均等に分散させることで、各々の直動ガイドベアリングにかかる荷重を最小限に抑え刃物台剛性を向上させました。この刃物台構造の採用により、安定した精度での長時間連続稼働を可能にするとともに、直動ガイドベアリングの長寿命化も実現しました。
(注4)スターモーションコントロールシステムとは
NC制御の場合、一般の加工工程は「工具選択」⇒「アプローチ」⇒「切削」⇒「退避」⇒「次の工具選択」⇒「アプローチ」⇒「次の切削」となり、実際の「切削」以外の非切削時間が加工時間に大きな影響を与えています。スターモーションコントロールシステムは、この非切削時間を短縮する機能です。
スターモーションコントロールのデータは、「最適化」という作業によりNCプログラムを変換して容易に生成することができます。この「最適化」によって制御系統間の切り替えに関わる処理を済ませてしまい、「切削」の工程中に「次の工具選択」⇒「アプローチ」を完了させ、工具の「退避」と同時に次の「切削」に入るように制御します。この制御方式により、「退避」⇒「次の工具選択」⇒「アプローチ」の時間を最小にして非切削時間を短縮します。
さらに加工精度についても効果を発揮します。NC制御では「次の切削」までの工程を最大早送り速度で軸移動します。一方、スターモーションコントロールシステムでは、前工程の「切削」時間を最大限に利用して、最短距離で軸移動を行います。この制御方式により、早送り速度での軸移動による過度な振動を抑制して、安定した加工精度の維持に貢献します。
本件に関するお問い合わせ先
機械事業部 営業部長 笹井 康直(ささい やすなお)
Tel.0537-36-5586