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  • スイス型自動旋盤「SV-38R」を発売

    クシ刃型+タレット型刃物台の重複合機SVシリーズをリニューアル

    写真:SV-38R

    当社は、スイス型自動旋盤(注1)SVシリーズの機能をさらに拡充した新製品として「SV-38R」を開発しました。医療・自動車・航空機関連分野等での複雑形状の部品加工をターゲットとして、全世界へ向けて2014年4月より販売を開始します。

    「SV-38R」は最大加工径をø38mmとし、直線制御軸9軸・回転制御軸2軸を有する11軸制御の「type A」、タレット型刃物台に工具旋回軸(B軸)制御機構を搭載した12軸制御の「type B」の2タイプをラインアップ。どちらのタイプも、加工部品の全長寸法に応じて、ガイドブッシュ仕様、ノンガイドブッシュ仕様(注2)の切り換えを可能としています。

    正面加工用として、ガイドブッシュを中心に、2軸制御のクシ刃型刃物台および3軸制御のタレット型刃物台を配置しました。各々の刃物台を独立制御し、旋削・穴明け・ミリングなどの加工を同時に行うことが可能です。また、背面加工専用のY軸制御付き8軸型ユニットを搭載し、正面/背面での同時加工を可能にすることにより、加工時間を短縮しました。

    さらに、当社独自の制御方式であるスターモーションコントロールシステム(注3)を搭載することにより、制御系統間の切り替え時間、工具交換時間などの非切削時間を徹底的に短縮しました。

    また、NC画面上でアラームの内容を確認できるアラームヘルプ機能、作成したプログラムの内容を事前に確認できるプログラムチェック機能などの各種チェック機能を採用し、オペレーターの操作性・作業性の向上を図りました。

    SV-38R」の特長

    高機能

    • 10面タレット型刃物台に、B軸制御対応の2軸型回転工具ユニットを最大5面に取り付け可能。(type Bのみ)
    • 加工部品の全長寸法に合わせて、ガイドブッシュ仕様とノンガイドブッシュ仕様の切り換えが可能。
    • Y軸制御付き8軸型ユニットには、最大6箇所まで回転工具ユニットの取り付けが可能。

    高生産性

    • スターモーションコントロールシステムによる非切削時間の短縮。
    • 背面加工専用のY軸制御付き8軸型ユニットの搭載により、正面/背面同時加工を実現。
    • メイン/サブ主軸のスピンドルモーター、クシ刃型刃物台側回転工具モーターの出力をアップ。(当社SV-32比)

    高剛性/高精度

    • ノンガイドブッシュ仕様には主軸筒すべり案内面構造(注4)を採用し、主軸剛性を確保。
    • メイン/サブ主軸にビルトインモーターを採用。ビルトインセンサーによる割り出し精度向上を実現。

    主な仕様

    最大加工径 ø38mm
    主軸台最大移動量 ガイドブッシュ仕様 350mm
    ノンガイドブッシュ仕様 95mm
    メイン主軸最高回転数 7000 min-1
    メイン主軸モーター 7.5kw(連続)/11kw(10分/25%ED)
    サブ主軸最高回転数 7000 min-1
    サブ主軸モーター 5.5kw(連続)/7.5kw(10分/40%ED)
    クシ刃型刃物台仕様 バイト 5本
    回転工具 4本
    回転工具最高回転数 5000 min-1
    回転工具モーター 1.2kw(連続)/2.2kw(5分/30%ED)
    タレット型刃物台仕様 工具装着ポジション 10面
    B軸制御対応ポジション 5面 (※type Bのみ)
    バイト Max.2本/面(□16mm)
    スリーブ Max.3本/面
    回転工具 Max.2本/面
    回転工具最高回転数 5700 min-1
    回転工具モーター 2.7kw(連続)/4.0kw(5分/30%ED)
    バック8軸型ユニット
    仕様
    工具本数 【固定工具】 8本
    【回転工具】 Max.6本
    回転工具最高回転数 5000 min-1
    回転工具モーター 1.2kw(連続)/2.2kw(5分/30%ED)
    正面加工能力 【 固定工具 】 最大穴明能力 ø23mm
    最大切削タップ能力 M16×P2.0
    【 回転工具 】 最大穴明能力 ø10mm
    最大切削タップ能力 M8×P1.25
    背面加工能力 【 固定工具 】 最大穴明能力 ø16mm
    最大切削タップ能力 M12×P1.75
    【 回転工具 】 最大穴明能力 ø10mm
    最大切削タップ能力 M8×P1.25
    機械寸法(幅×奥行×高さ) 3420×1440×1865mm

    (注1)スイス型自動旋盤とは

    スイス型自動旋盤は、時計部品を加工する機械として、1870年代にスイスにおいて考案されました。別名“主軸移動型自動旋盤”とも呼ばれ、直径に比べて部品長が長い部品を高精度に切削できる点が大きな特徴とされています。

    一般的には、細長い部品を汎用旋盤で加工を行うと、加工物がたわみを起こして正しい寸法に仕上げることができません。

    スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュを用い、刃物はガイドブッシュから一定距離の位置で、外径方向の切り込み運動のみを与えるため、加工物はたわみを起こさずに、高精度に切削することができます。また、軸方向の運動は刃物台が移動するかわりに、主軸台が素材をくわえた状態で移動する機械構成となります。

    (注2)ノンガイドブッシュ仕様とは

    スイス型自動旋盤を基に、ガイドブッシュを取り外した主軸移動型自動旋盤です。ガイドブッシュが無いため、細長い部品加工には不向きですが、ガイドブッシュが無くても加工物がたわまない短い部品であれば、材料を有効に使用することができます。

    スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュ構造部の寸法分だけは、棒材の後端部分を加工することができずに残材として廃棄することになります。

    ノンガイドブッシュ仕様では、廃棄される残材の長さをガイドブッシュ仕様の1/3程度に削減することができます。

    (注3)スターモーションコントロールシステムとは

    NC制御の場合、一般の加工工程は「工具選択」⇒「アプローチ」⇒「切削」⇒「退避」⇒「次の工具選択」⇒「アプローチ」⇒「次の切削」となり、実際の「切削」以外の非切削時間が加工時間に大きな影響を与えています。スターモーションコントロールシステムは、この非切削時間を短縮する機能です。

    スターモーションコントロールのデータは、「最適化」という作業によりNCプログラムを変換して容易に生成することができます。この「最適化」によって制御系統間の切り替えに関わる処理を済ませてしまい、「切削」の工程中に「次の工具選択」⇒「アプローチ」を完了させ、工具の「退避」と同時に次の「切削」に入るように制御します。この制御方式により、「退避」⇒「次の工具選択」⇒「アプローチ」の時間を最小にして非切削時間を短縮します。

    さらに加工精度についても効果を発揮します。NC制御では「次の切削」までの工程を最大早送り速度で軸移動します。一方、スターモーションコントロールシステムでは、前工程の「切削」時間を最大限に利用して、最短距離で軸移動を行います。この制御方式により、早送り速度での軸移動による過度な振動を抑制して、安定した加工精度の維持に貢献します。

    (注4)主軸筒すべり案内面構造とは

    素材を把持した状態で移動する主軸台の主軸筒部分の外径寸法に合わせて加工した摺動面構造です。主軸筒と案内面の隙間をなくしたこの構造にすることで、切削時に主軸台にかかる加工負荷をすべり案内面で支持し、主軸台の剛性を向上させることができます。


    本件に関するお問い合わせ先

    機械事業部 第二営業室長 増田 文雄(ますだ ふみお)
    Tel.0537-36-5586