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  • CNC自動旋盤「SB-20R typeN」を発売

    高剛性・高精度SBシリーズのラインアップを拡充

    写真:SB-20RtypeN

    当社は、スイス型自動旋盤(注1)SBシリーズの新製品としてノンガイドブッシュタイプ(注2)の「SB-20R typeN」を開発しました。 自動車・建機関連分野などをターゲットとして、2013年6月より販売を開始します。

    SBシリーズは、2003年に初期モデル「SB-16」を発表して以来、市場で高い評価を受けている当社のベストセラーシリーズです。

    「SB-20R typeN」は、ガイドブッシュを用いるスイス型自動旋盤と比較して全長の短い部品加工に適しており、材料の無駄を省くことができます。刃物台にはスラント型すべり案内面構造(注3)、メイン主軸台には主軸筒すべり案内面構造(注4)を採用。これら当社独自の構造により機械剛性を高め、安定した精度での連続加工を可能にしました。

    最大加工径はø20mm。メイン主軸にはビルトインスピンドルを採用し、C軸制御機能を標準装備。サブ主軸にもC軸制御機能を標準装備としました。正面加工用クシ刃型刃物台の回転工具は4軸仕様と5軸仕様から選択が可能。5軸仕様では回転工具5箇所のうち3箇所までを自由に交換することができ、多彩なツーリングの組み合わせにより、最大30本の刃具装着を可能にしました。
     背面専用刃物台は偏芯穴加工、スリ割り加工など背面側での複合加工機能を拡充しました。
     NC装置には、アラームの内容をNC画面上で確認できるアラームヘルプ機能を始めとした各種ヘルプ機能を搭載。
     旋回式操作パネルの採用、段取り作業時に便利な手動パルス発生器を用意するなど、操作性・作業性の向上を図りました。

    本機は、11月1日から東京ビッグサイトにて開催される第26回 日本国際工作機械見本市(JIMTOF2012)に出品し、実演展示を行います。

    「SB-20R typeN」の特長

    • ガイドブッシュを用いないノンガイドブッシュタイプで、残材長は最短で31mm(前方排出型給材機の場合)。材料コストを大幅に削減。
    • メイン主軸台には主軸筒すべり案内面構造を採用。切削時に主軸台にかかる切削負荷を軽減し、主軸台剛性を確保。
    • カートリッジ式クロスドリルユニット5軸型を採用(オプション)。 3箇所のカートリッジ式ポジションに多彩な工具ユニットを組み合わせることにより、最大30本の刃具装着が可能。
    • 背面加工用4軸型ユニットには、工具回転駆動装置の装着が可能。背面側の複合加工機能を拡充。
    • メイン/サブ主軸にC軸制御機能を標準装備。

    主な仕様

    1)最大加工径 ø20mm
    2)最大加工長 加工径×2.5(Max.55mm)
    3)メイン主軸最高回転数 10000min-1
    4)メイン主軸モーター 2.2kw(連続)/3.7kw(10分/25%ED)
    5)サブ主軸最高回転数 9000min-1
    6)サブ主軸モーター 0.55kw(連続)/1.1kw(5分/30%ED)
    7)回転工具最高回転数 6000min-1 (ER16)
    8000min-1 (ER11)
    8)回転工具モーター 1.0kw(連続)/1.2kw(5分/30%ED)
    9)正面加工能力 【固定工具】 最大穴明能力 ø10mm
    最大切削タップ能力 M8×P1.25
    【回転工具】 最大穴明能力  ø7mm (ER16)
    ø5mm (ER11)
    最大切削タップ能力 M6×P1.0(ER16)
    M5×P0.8(ER11)
    10)背面加工能力 【固定工具】 最大穴明能力 ø8mm
    最大切削タップ能力 M6×P1.0
    【回転工具】 最大穴明能力  ø7mm
    最大切削タップ能力 M6×P1.0
    11)機械寸法(幅×奥行×高さ) 2070×1177×1760mm
    12)機械重量 約1700kg

    (注1)スイス型自動旋盤とは

    スイス型自動旋盤は、時計部品を加工する機械として、1870年代にスイスにおいて考案されました。別名“主軸移動型自動旋盤”とも呼ばれ、直径に比べて部品長が長い部品を高精度に切削できる点が大きな特徴とされています。

    一般的には、細長い部品を汎用旋盤で加工を行うと、加工物がたわみを起こして正しい寸法に仕上げることができません。

    スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュを用い、刃物はガイドブッシュから一定距離の位置で、外径方向の切り込み運動のみを与えるため、加工物はたわみを起こさずに、高精度に切削することができます。また、軸方向の運動は刃物台が移動するかわりに、主軸台が素材をくわえた状態で移動する機械構成となります。

    (注2)ノンガイドブッシュタイプとは

    スイス型自動旋盤を基に、ガイドブッシュを取り外した主軸移動型自動旋盤です。ガイドブッシュが無いため、細長い部品加工には不向きですが、ガイドブッシュが無くても加工物がたわまない短い部品であれば、材料を有効に使用することができます。

    スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュ構造部の寸法分だけは、棒材の後端部分を加工することができずに残材として廃棄することになります。

    ノンガイドブッシュタイプでは、廃棄される残材の長さをガイドブッシュタイプの1/3程度に削減することができます。

    (注3)スラント型すべり案内面構造とは

    機械本体側ベースと刃物台を傾斜(スラント)させ、お互いの摺動部をアリ溝と呼ばれる台形状に加工して摺り合わせる摺動面構造です。この構造にすることでお互いの摺動部が面で接触し、機械剛性が向上します。また、ボールネジ中心と切削点が近接する構造となり、切削抵抗によるねじれ方向への荷重(モーメント荷重)を減少させることができます。

    (注4)主軸筒すべり案内面構造とは

    素材を把持した状態で移動する主軸台の主軸筒部分の外径寸法に合わせて加工した摺動面構造です。主軸筒と案内面の隙間をなくしたこの構造にすることで、切削時に主軸台にかかる加工負荷をすべり案内面で支持し、主軸台の剛性を向上させることができます。


    本件に関するお問い合わせ先

    機械事業部 営業部長  笹井 康直(ささい やすなお)
    Tel.0537-36-5586