PROJECT STORY #2
ラベルプリンター
「mC-Label🄬3」
開発ストーリー
壮大なビジョンを原動力に、
ゼロから挑戦。
これらの利用シーンにおいて、オペレーションを円滑に進めるべく
役立てられているのが、店舗システムと連動したラベルプリンター「mC-Label🄬3」です。
プロジェクトが立ち上がったきっかけ、そして開発時の苦労は。
プロジェクトメンバー3人のリアルな声をお届けします。
MEMBER
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営業・マーケティング担当S.T
特機事業部 営業マーケティング部 営業企画室2009年 新卒入社
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メカ開発担当H.I
特機事業部 開発部 製品開発室2009年 新卒入社
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ソフトウェア開発担当D.I
特機事業部 開発部 ソフト開発室2016年 新卒入社
CHAPTER 01
サンプル機を手に
アメリカでニーズ調査。
H.I
「mC-Label🄬3」が発売されるまで、小型プリンターで強粘着ライナーレスラベル(台紙のないラベル用紙)に対応した機種はなかったんですよね。
S.T
でも営業マーケティング部の中では「レシートプリンターの技術や商流シナジーを活かすにはラベルプリンターもありだよね」という話は出ていて、少しずつ企画の検討は進めていたんですよ。ただ市場やターゲットが固まっておらず、ビジネスとしてGOサインを出すにはあと一歩というところで止まってしまっていました。そこでこれはもう前のめりに動くしかないと、エンジニアのH.Iさんと共にアメリカへ。2日間で10社程アメリカの会社をまわり、ターゲットの声を聞きにいきました。
H.I
ちょうどオンラインオーダーが流行り始めていたというタイミングも良かったのでしょう。プロトタイプを見せると「商品の在庫管理に役立ちそう」「テイクアウト用に使える」といったさまざまなニーズを引き出すことができ、手応えを感じました。
D.I
注文をメモしてテープで貼り付けるより、注文と同時に印刷してそのまま貼り付けた方がキレイですし、人的ミスも少ない。プロトタイプがあったことで「実際に使ってみたとき」の想像が膨らんだのかもしれませんね。
CHAPTER 02
「ロール紙セットが簡単、
でも落ちない」構造で
特許を取得。
S.T
新しい挑戦で、かつ投資額も大きかったため、社内でもさまざまな視点で協議や仮説検証を行いました。正式にプロジェクトが立ち上がったのは、アメリカでのニーズ調査から一年くらいたった頃です。
H.I
製品開発室では、プロジェクトが始まる少し前から改良に向けて動いていました。今回は1モデルで多種メディア(ロール紙の種類)、多種ユースケースに対応するモデルですから、試験評価も既存モデル以上に必要だと判断し、できる部分は前倒しで進めていました。
※試験評価:製品の動作や品質を確認するテストのこと
D.I
製品の開発でもっとも苦労したのはやっぱりロール紙のセット方法の簡易化の部分ですか?
H.I
まさにそこです。アメリカの販売会社から「ワンアクションでロール紙をセットできるようにしたい」という要望があったこともあり、ここはかなり注力した部分です。ライナーレスラベル紙は裏面が粘着剤でベタベタしているため、浮かせて設置する必要があるのですが、用紙をくり出す際の負荷は想像以上に大きく、しっかり支えなければロール紙が落ちてしまいます。この「取り付けは簡単」でも「支えはしっかり」と相反する課題に応えるのはとても難しかったです。
S.T
でも結果的にはその要望をクリアし、この構造で特許も出願できたのですごいことです。ただこの後も多種メディアの試験評価など取り組むべきことが盛りだくさんで、大変でしたよね。
H.I
もう山のようにラベル紙を買い込んで、試験、試験の連続。粘着性が強いライナーレスラベルをこれまで評価した経験がなく、発生する不具合も未知のものばかりで。この原因確認のために動画をスロー再生して解析したり、部品を修正・追加したり、試行錯誤を重ねながらなんとか完成にこぎつけました。
CHAPTER 03
ワンランク上の
ユーザーガイドに
チャレンジ。
S.T
ハードウェア先行で開発が行われ、徐々に方向性が見え始めたあたりでソフトウェア開発担当であるD.Iさんに本格的にチームに参加してもらいました。これまでのプリンターは、仲介業者さんが設定や部品の交換を担当してくれていたのですが、「mC-Label🄬3」は店舗側での設置が想定されるモデル。セットアップの方法にしても、交換や清掃の方法にしても、とことん「イージーなもの」を作る必要があったため、D.Iさんともそこはしっかりと共有した記憶があります。
D.I
ユーザーがいかに悩まずにプリンターの設定を完結できるのかを考え、実現するのが私のミッションでした。この「悩まず」という一言があるだけで、途端に難易度が上がります。というのも私を含めてチーム全員がプリンターには当然、詳しくなってしまっているので。「初めてプリンターを触る人」になり切って、その目線でどう思うかを検討しながら進めるようにしていました。
H.I
ユーザー向けのアプリケーションの内容をいつも考えていましたもんね。
D.I
文章や画像だけではユーザーに伝えるのは難しいのではないかという議論をマニュアルグループと重ねた結果、アニメーションなどを利用するセットアップガイドにたどり着きました。
H.I
D.Iさん、定例会でソフト開発の進捗を発表するときいつも緊張していましたよね。
D.I
そりゃあ毎回ドキドキですよ。高いレベルを求めるメンバーばかりだったので「ここ、もう少し工夫できるんじゃない?」とよく言われていました(笑)。だからS.Tさんの「販売会社の人たちが設定アプリやアニメーションを、ワンランク上のセットアップガイドだとすごく褒めていたよ!」という言葉は嬉しかったですね。
CHAPTER 04
ワクワクするソリューションを
届けたい。
S.T
2023年1月に発売した「mC-Label🄬3」ですが、おかげさまで大きな反響をいただいています。やはり販売は最終目的ですから、私たちの熱量をそのまま海外の販売会社に届け、モチベーションの高い状態で売っていただけることが非常に重要。そのためプロジェクトの進行中も、企画背景や進捗状況はこまめに連絡するようにしていました。その甲斐があって販売会社と足並みのそろった顧客対応ができ、結果的にリリース前にも関わらず、大型案件の採用に繋がりました。
H.I
まずは大型店舗に導入していただき、社会に浸透させながら、徐々にゴールとなる中小規模の店舗へと広がっていくのが理想です。そういう意味では今は訴求活動のフェーズ。「こんなユースケースがありますよ」という成功事例を広げていきながら、「mC-Label🄬3」が業界の中で標準となれるよう地盤を固めていきたいですね。
D.I
広まれば広まるほど、ユーザーから「こんな風に使いたい」というアイデアが出てくるモデルだと感じているので、そういう意味では「真の完成」はこれから。今後のフィードバック次第で、改善の余地がまだまだあると思っています。
S.T
「mC-Label🄬3」には大きなビジョンがあり、そのためには少しずつステップを踏んでいく必要があります。今はステップ1でまずは販売の素地を築き、市場の反応をリアルタイムにはかりながら、洗練していくフェーズ。次のステップはユースケースの拡張や、販売国の開拓、そしてソリューションのアップデートでしょう。そのまた次のステップも描いていますが、ここでは控えておきます。ただやりたいことが山積みでやりがいがあることだけは伝えておきます。
H.I
今回の開発でかなり知見が蓄積されたので、次のモデルではもっとスピーディーに市場に投入できるはず。市場要求にすぐ対応できるよう、開発のアイデアを用意しておきます。
S.T
頼もし~(笑)。これからもスター精密メンバーの力が最大限に発揮できるような企画で、世の中が便利になったり、ワクワクするようなソリューションを生み出していけたら最高ですね。